ミュージックバー 山渡は、繁華街・池袋の大きな通りに面しながら、
地下に降りた途端、外の喧騒がすっと遠のく静かな大人の隠れ家です。
小さな看板の下、アナログレコードを真空管アンプで、
ゆったりと味わっていただく音楽バーとして営業しています。
今回は、ジャズと付き合って四十年になるマスターが、
「これからジャズを聴いてみたい」と思った人のために、
春に聴きたいモダン・ジャズの名盤を5枚選びました。
① Ahmad Jamal『At the Pershing: But Not for Me』(1958)
音数を削ることで生まれる、軽やかな躍動感。ジャマルの間の取り方は、空気を少しだけ明るくする。「But Not for Me」の洒落たリズムに、足取りまで軽くなる。春の午後に似合う、風通しのいい一枚。
② Sonny Clark『Cool Struttin’』(1958)
気負いのないグルーヴが心地いい、ハード・バップの名盤。どこか肩の力が抜けていて、それでいて芯はぶれない。タイトル通り、少しだけ胸を張って歩きたくなる音楽。季節の変わり目にちょうどいい温度感。
③ Paul Desmond『Take Ten』(1963)
ブルーベックの陰で語られがちなデスモンドだが、この作品では彼の美点が際立つ。アルトサックスの音は柔らかく、どこまでも滑らか。派手さはないが、長く付き合える。春の光に溶けるような一枚。
④ Herbie Hancock『Empyrean Isles』(1964)
「Cantaloupe Island」の軽やかなリフが印象的。知的でありながら、どこか遊び心がある。難しさを感じさせずに、新しい響きを自然に聴かせる手腕は見事。少しだけ新しいことを始めたくなる季節に似合う。
⑤ Grant Green『Idle Moments』(1965)
ゆったりとしたテンポと、やわらかなギターの音色が印象的。急がず、焦らず、時間を味わうような演奏が続く。何かが始まる前の静けさを、そのまま音にしたような一枚。春の夕暮れにそっと寄り添う。


コメントを残す